DAVID MORALES
その「音」だけで、「ハウス」という音楽が備えている骨格と筋肉を聴き手に知らしめるDJはそう多くはいない。"David Morales゛はその数少ない一人である。忘れもしない9年前、都内の某クラブでワタシは奴に陵辱された。抵抗できる余裕なんてなかった。野太い男根で、有無をいわさず一突きにされた。そのたたみかけるような腰の動きは、いままで体験したどのハウスDJとも違っていた。痺れるような快感が肛門から脳天に向かって走り抜けた。おかげでそれ以来、ハウスがないと生きていけない体になってしまったのだ。許せない、絶対に!(笑)
2000年のイエロ−でのプレイはとりわけ印象深いものだった。500人足らずのクラウドの前で、奴は人目を憚らず泣いていた。当時、欧米においてMoralesの人気は下降線気味だった。リミックスにはかっての切れ味がなく、自身のアルバムの売上も低迷していた。レギュラ−として雇ってくれるクラブもなく、新たなDJのオファ−は皆無だった。だが、東洋の一都市で、自分のプレイを以前と変わらず好意的に受け入れてくれる聴衆を目の前にして、思わず歓喜の涙が零れてしまったのだろう。
モラレスといえば、なぜか本宮ひろしの漫画が浮かんできてしまう。コブシの効いたその演歌調のミックスプレイは、彼の真骨頂というべきものだ。本国アメリカよりも、むしろ日本で根強い人気があるのもなんとなくわかるような気がする。ハウスミュージックの醍醐味を存分に味わえることはいうまでもない。